古仁屋八月踊り唄(1) 祝ほ宮(みゃ)踊唄
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資料は古仁屋八月踊り保存会の富島甫(はじめ)さんより提供していただきました。
永年考え続けていました「古仁屋八月踊り唄」再編集ができました。一口に八月踊り唄といってもその一句一句は、わが先人たちの足跡であり人生哲学であることをおもいますとき、その貴重さに緊張せざるを得ません。
一首一句の詞を想起し記録をして慎重に編集したつもりであります。また私にとって生れてこのかた古仁屋を離れることなく、毎年唄い続けながら研究してきたつもりであります。
ともあれ、現代の使い捨て思想の中で、この貴重な文化遺産であります八月踊り唄が、絶えることなく次の世代へ継承されるためには、相当の努力が必要かと思います。私のこのささやかな労が皆さまのお役に立つことができますなら幸いであります。
この素晴らしい八月踊り唄が、一層盛んに町の津々浦々で歌われます事を願いつつ、皆さんとともに唄い続けて行きたいと思います。
平成十一年 富 島 甫
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宮での盆踊りはう祖神で唄う
十五夜からはいべ神と唄う
(あらしゃげ)・・新しき節を迎え神を祭る
(うしゃげ)・・・おし上げて神に供え物を奉(ささ)げ、式舞を行う
(うせうせ)・・・奉(ささ)げる
(でっしょ)・・・手習学問
新節とは(陽の神)の祭りで旧暦の八月の最初の(ヒノエ)の日である
柴さしとは、新節から数えて七日目で(土神)の祭りとされ、
年によっては十五夜祭りの前後に行われる。
朝家根の過度に(すすき)をさし、夕方こ祖迎えをする。
ドンガそは、柴さしの後(甲子)の水神の日で、年によっては八月中に(キノエネ)の重ならない年が合って、九月になることもある。
新節・柴さし・ドンガを一年の三大節で三八月と言う。ドンガから
八日目を(トモチ)と言い、八月の行事はすべて終了する。
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一. シマやう祖神(いべがなし) 島守(まも)てぃ給(たぼ)れ
七日七夜(やにぬはちがつ) 踊(をどぅ)てぃ上差(うぇしょ)をろ
二. 去年(クドゥ)ぬ八月結(はちがゎつむす)でぃ うちやる縁(いぇん)や
うりほどこ 節(してぃ)や今日(けふ)やあらみ
三. 今日(けふ)ぬ誇(ほこ)らしや いつより勝(まさ)り
いつも今日(けふ)ぬ如(ごと)に あらち給(たぼ)れ
四. いつも今日(けふ)ぬ如(ごと)に ありば玉(たま)黄金(くがね)
何故(のて)に此(こ)ぬしのぎ 吾縁(わがえ)あらみ
五. 今日(けふ)ぬ誇(ほこ)らしやば 物(もの)にたとえれぃば
山(やま)ば差上(さしあ)がる お十五夜(や)ぬお月(づき)
六. 山ば差上(さしあ)がる お十五夜(や)ぬお月(づき)
加那(かな)が門(じょ)に立(た)てぃば 曇(くも)てぃたぼれ
七. お十五夜ぬお月かに 美(きゅら)さ照りゆり
加那(かな)が門(じょ)に立てぃば 曇(くも)てぃたぼれ
八. 加那(かな)が門(じょ)に立てぃば 曇(くも)りぶしやあすが
他人(よそ)ぬ目(むぃ)ぬうくさ 口(くち)ぬしぎさ
九. 加那(かな)が門(じょ)に立てぃば 君(うら)や寝(ねぃぶ)られみ
出(いじ)て来(こ)ば加那志(かなし) 話(はな)ち帰(むど)そ
十. 月(つぃき)ぬ夜ぬ美(きゅら)さ しのぶ夜や暗さ
加那(かな)が門(じょ)に立てぃば 曇(くも)てたぼれ
十一.月夜(つぃくぃぬゆ)る通(かよ)て 物(むん)なたんよりも
とてやかた夜(ゆ)闇(やみ) 通(かよ)てうもれ
十二.月に髪(かみ)てらち 露(つぃゆ)に袖(すでぃ)ぬらち
忍(しにょ)できゆる心(こほろ) 思(うも)てぃたぼれ
十三.う月(でぃき)雲(ぐも)かくれ なとりばぬいぇだ
吾(わ)んな加那がみ袖掛(すでぃかか)りぶしゃや
十四.う月(てぃき)雲(くも)らしゆすぃ 白雲(しりゃくも)ぬ仕事(しぐとぅ)
吾(う)きや迷(まみ)らしゆすぃ 愛人(かな)が仕事
十五.二十日夜(ゆ)ぬ暗さ 足元(あしむとぅ)ぬ暗さ
愛人(かな)に想(うむぇ)ますば 真昼(まひる)なゆり
十六.東(あがれ)から上(あが)る 月(つぃき)や変(かわ)れども
変(かわ)るなよ愛人(かな) 元(むとぅ)ぬ心(こほろ)
十七.美山(みやま)松山(まつやま)に 上(あが)てもるお月(うでぃき)
にゃにゃり上りば 御代(みよ)の鏡(かがみ)
十八.夜(ゆ)照(で)りや上(うぃ)ぬ月や 山が上ど照(てぃ)ゆり
愛人(かな)が差しゆる かんざしや吾上(わぁうぃ)ど照(てぃ)ゆり
十九.天(てぃん)ぬ群(むれぃ)星(ぶし)や 他人(ゆそ)が上(うぃ)と照(てぃ)ゆり
黄金(くがね)三星(みつぼし)や 吾(わ)ぁ上(うぃ)と照(てぃ)ゆり
二十.夜通(よさ)り夜(よ)やまこま 夜明(ゆあか)しぬ遊(あすぃ)び
明日(あちゃ)や振りやかれぬ 吾(わぁ)こと想(うむぇ)よ
二一.振りやかれぬ匂(にを)い 残(ぬこ)ちうちうかば
体臭(みかだ)する時(てぃきぃ)や 吾事(わぁくぅとぅ)想(うむぇ)よ
二二.振りやかれぬ愛人(かな)や 吾体(わぁどぅ)に掛(かか)ろ
振り掛(かか)てからや すそやなさぬ
二三.これほどぬ遊(あすぃ)び 遊(あすぃ)ばだなしてゆて
家戻(やぁむど)てからや後悔(しのぎ)する(とれよ)
二四.しのぎちばしのぎ 明(あけ)ぬ夜(ゆ)ぬしのぎ
しのぎ振り捨(すぃ)てや 今日(けふ)やあらむぃ
二五.しのぎ取りち親(う)や生(な)ちうかぬ
世もしのぎとりゆすぃ 吾(わぁ)きゃもさらむぃ
二六.恋(かな)しゃすろすりば 其女(うら)や加那もちゆり
吾(わ)んな外廻(すとぅむぃぐてぃ)て しのぎとりゆすぃ